あるご家族は、酒乱の旦那さんと暮らしています。
普段はとても穏やかで子どもたちにも優しい人なのだそうですが、アルコールに関する話やお酒の飲み方などについて話し合おうとすると、とてもこの世とは思えないほどの形相で怒鳴りつけると言います。奥さんはとても参ってしまっています。お酒が抜けると「ごめんごめん」とまた優しい笑顔で、反省したふりをします。そして、その日仕事で嫌な事があると家族のせいにして、暴力をふるうと言います。
そこまでして、一緒に生活するには理由があるそうですが、そもそも酒乱とは一体どんなものなのでしょうか。
酒乱
酒に酔ってあばれること。酒に酔うとあばれる癖。
Oxford Languages
お酒を飲むことが優先的になってしまい、少量のお酒で気分よく酔えていたものが徐々に量が増えてしまい、お酒に酔った感じがなくなります、そのため、家庭や社会生活に影響があってもあまり気になりません。
暴言は当たり前で、ひどい時には暴力をふるったりします。
当然毎日の飲酒ですので、脳の神経細胞に異常をきたすので、「家族解散」とか「お前はダメな人間なんだから、俺に尽くせ」とか暴言を吐いたりします。
酒乱のタイプ
- 同じ話を繰り返す。
- 攻撃性が高まる。
- お店の人に迷惑をかける。
よくこんな人達を見かけたりしませんか?酒乱にもタイプがあるようですが、結局のところ他の人に迷惑をかけているのですから、酒乱は酒乱です。一緒にいる人は、同じ話を聞き、何回も叩かれ、お店の人に頭を下げます。こんな人と一緒に飲んでいても楽しいわけがありませんよね。
でも、酒乱の人は、少しでも気に入らないと「俺が楽しんでいるのにぶち壊すな!!」とものすごい剣幕で罵倒します。
なぜ酒乱とわかりつつ「離婚」しないのか
酒乱による暴力や暴言は「離婚の事由」になる可能性が高いです。人格を否定するようなことや、人を見下すこと、または容姿や体型をバカにしたり「殺すぞ」などと罵倒して恐怖心を持たせたりすることで、家族に恐怖心をうえつけ、逃げることや正常に考えることができなくなるので、現状維持のまま生活していると言います。
生活圏内を考えると安易に「家を出る」という選択肢はできません。
- 子どものこと
- 仕事のこと
- 専業主婦でまとまったお金がないこと
幸い子どもには手をあげないことが救いだと言いますが、母親が攻撃を受けていて、暴言を吐き暴れまくっていたら、子どもへの影響も決してよいとは言えません。
しかし、決心がつかない人は意外と多いと言います。
アルコール依存症との違い
アルコール依存症は、習慣的に飲酒をする方であればどなたでもなりえる身近な病気です。 習慣的な多量飲酒が原因でお酒により脳がハイジャックされた状態です。 そのため、自分の意思ではお酒の飲み方をコントロールできなくなります。
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毎日飲酒を続けていると、アルコールに耐性をもたらします。少しのお酒で酔えていたのが、徐々にお酒の量が増えていき、「酔っている」という感覚を感じなくなるそうです。
この状態で飲酒を続けると、お酒を飲まないと生活ができなくなります。
- 仕事をしないで飲むようになる。
- 目を覚ますと飲むようになる。
- 仕事よりも優先的に飲むようになる。
眠っている間だけ飲まないという状態になり、周囲や会社から飲酒をやめるよう注意をうけ、それでもやめられない場合は、最悪仕事を失ったり、友達も失い、会社すら退職せざるを得ないこともあります。
酒乱は、お酒を飲むと暴れますが、アルコールが体内から抜けると割とおとなしくなります。だから、何度も何度も「本当は優しい人だから」と許してしまうことがあるのです。
しかし、酒乱もアルコール依存症も「お酒」の飲みすぎによるものです。大体の人は、自分でセーブできるのですが、このタイプの人はセーブできなく、記憶すら無いこともあります。
多量飲酒とは、1日の平均飲酒量が6ドリンクを超えることです。
- ビール500㎖ × 3本
- 日本酒540㎖ × 弱
- 焼酎25° × 300㎖
- ワイン6杯(グラス)
アルコールが抜けると離脱症状がではじめる
アルコールを多量に毎日摂取すると、アルコールが体内から抜ける時にさまざまな症状がではじめます。
- 自律神経障害
- 情緒障害
- 手の震え
- 幻覚
これは、離脱症状と呼ばれるものです。
手や全身の震え、不眠や吐き気など、さまざまな症状がではじめるため、イライラ感が増していきます。この不快な症状から逃れるために、さらに飲み続けることになることが多いようです。
アルコールの依存や酒乱の治療について
アルコールによる依存や酒乱は、専門医に適切な治療をうけることで、「断酒」をします。
本人が治療を納得していない場合
専門医を受診して治療をすることを本人が拒むと、医療機関では受入れることができません。なぜなら、本人が自覚して且つ入院しなければならないからです。もし、この時に暴力を振るわれていたりしても医療機関ではどうすることもできないため、「残念ですが、避難するとかして気を付けてお過ごしください」というような結果になります。警察や市町村で相談する窓口もありますが、結果同じです。
本当に恐怖に怯えながら、相手を怒らせないように、興奮しないようにしながら日々安全に暮らせることを願って生活するしかないのです。
本人が治療を納得している場合
断酒を目的とした治療が始まります。これは、一生お酒を飲まないことを継続するためのものなので、患者本人のココロのケアもしてくれます。断酒は、そう簡単にはいきませんし、数年かかる場合も考えられます。一般的には、3年断酒生活が継続できれば安定した生活を送ることができるようになると言われています。
イネイブリング
イネイブリングは、初めて耳にする人も多いかもしれません。
イネイブリングは、よかれと思ってしたことが裏目に出る行為です。例えば、アルコール依存者や酒乱の家族が、困っているのを知っていて「アルコールを飲む環境を与える」などの行為です。このイネイブリングをしてしまう人のことを「イネブラー」と呼びます。
私が知っている家族の周りにはイネブラーが多く、そのたびに何度も訴えていました。数年訴え続けてきたにも関わらず、「飲む環境を与えてきた」ので、とうとうイネブラーへも攻撃が始まり、現実を知ることになります。
3つのコントロール
- 飲酒をコントロールする。(怒る、説教する、監視する、酒を隠すなど)
- 飲酒の原因を紺トロールする。(機嫌をうかがう、ストレスを軽減する、生活を変えるなど)
- 飲酒の結果をコントロールする。(介抱する、会社に言い訳をする、迷惑をかけた人にあやめるなど)
アルコール依存症や酒乱の人は、お酒を飲まずにはいられなくなる病気です。このような悪循環を断ち切る覚悟を家族で持つことが大切です。
とはいっても、ここで「覚悟を持つ必要があるのかどうか」を真剣に考えることになることが多いです。
まずは家族の安全を確保していきましょう
アルコールが問題の家族は、どこかビクビクしたりオドオドしたりしています。暴力がひどい時には、迷わず警察へ連絡するように家族で話し合ってください。警察沙汰は困るとか、周りの目がと気にする人もいますが、それはもう危険な状態なので、警察へ連絡するべきなのです。
周囲の人は、大声で罵倒したり暴力をふるっていることを知っているでしょう。しかし、関わりたくないから見て見ぬふりをしているだけということが多いと思います。お酒を飲んで暴れているだけならまだしも、自分で抑えが効かなくなり最悪なことにもなりかねません。そうなると、大人ならまだしも子どもの人生をも苦しめてしまうでしょう。手遅れになる前に、安全第一に過ごせるようにしていくことを考えていきましょう。
誰にでも起こり得る「アルコール依存症」は、断酒によって安定した生活を送れるようになります。それは、決して楽な選択ではありません。地域の精神保健福祉センターなどに連絡するのも良いと思います。もしかしたら、思っている以上にあまり納得できない結果になるかもしれませんが、一緒にいると決心したのならできるだけ早く治療を始めましょう。
それでもココロの片隅には、いつか、離婚を決心した時のことも視野にいれて、ココロと身の回りの準備をしておくことをお勧めします。
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